大判例

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東京高等裁判所 昭和57年(行ケ)208号 判決

二 そこで、本件審決にこれを取消すべき事由があるかどうかについて判断する。

原告は、第一次審決を取消した東京高等裁判所昭和五三年(行ケ)第三〇号昭和五五年三月二五日言渡の確定判決は、文字を含む本件意匠は意匠法第二条第一項にいう意匠ではないと判断し、この点に登録無効事由があるとしているのであるから、特許庁はこの判断に拘束され、本件意匠登録を無効とする審決をするよりほかに途はない旨主張する。

そこで右確定判決(成立について争いのない甲第三号証)の内容を検討してみると、右判決中には、本件意匠のうちの「CUP及びNOODLEのローマ字を中間調子の線条で囲むかなり図案化した字体で左右に重ね合わさるように二段に構成した容器の正背面周側中央部に表わした部分」を「模様と認められる範囲のものとした審決の判断は誤りといわざるをえない。そうすれば、この誤つた判断を前提として本件意匠を意匠法第三条第一項柱書(ひいては第二条第一項)、第三号に該当しないとした審決の判断を正当として是認することができない。」(第九丁裏第三行ないし第八行)と判示している部分のあることが認められるところ、右判示部分のみをみると右判決は、あたかも文字部分を含む意匠は、意匠法第二条第一項、第三条でいう意匠ではないと言つているかのように見える。しかしながら、判決は右部分に続いて、かつこ書き(第九丁裏第八行ないし第一〇丁表第三行)として、「なお、前記争いのない事実からみて、原告の審判における主張の重点は、本件意匠にCUP NOODLEの文字が構成要素として含まれることが直ちに意匠全体の無効を来たすとの点にあつたと認められ、この主張に対する判断いかんにより、前記審決の誤りは、意匠法第三条第一項第三号の問題を論ずるまでもなく、結論に影響を及ぼすわけである。」と判示していることが認められるところ、右かつこ書きを含んだ前記判決の挙示部分全体を考察してみると、右判決の言わんとする趣旨は、第一次審決が、原告の、本件意匠は意匠法上の構成要素となり得ない文字(CUP NOODLE)を構成要素としているから本件意匠登録は無効であるとの主張に対し、CUP NOODLEは模様であつて文字ではないと判断したのを誤りであるとし、これが文字であるとすると、原告の、文字は意匠の構成要素とはなり得ず、本件意匠は文字部分を含んでいるそのことの故に当然無効とされるべきであるとする審判手続における主張に対する判断に影響を及ぼすことがあるのは当然であるから、その点について更に判断させるために、第一次審決を取消すとするものであり、前記判決は、本件意匠は文字部分を含むが故に直ちに意匠法にいう意匠に該当しないとするものでないことは明らかである。

そして、本件審決は、本件意匠が文字部分を含んでいるとしても、その他の部分に新規性が認められるから、これを無効とすべきものでないとしたものであり、この審決の判断はなんら前記確定判決の判断と矛盾するものではなく、本件意匠が文字部分を除いて考察してもなお新規性を有するものであるかどうかの点については、原告の本件審決の取消事由としては主張しないところである。

三 右のとおりであり、本件審決には原告が主張するような違法の点はないから、その違法を理由にこれが取消を求める原告の本訴請求を失当として棄却する。

〔編註その一〕 本件における請求原因は左のとおりである。

被告は、意匠に係る物品を「包装用容器」とする別紙図面(〔編註〕省略)記載のとおりの登録第三五九六三三号意匠(昭和四六年三月一九日意匠登録出願、昭和四七年一二月一日設定の登録。以下、「本件意匠」という。)の意匠権者である。原告は、昭和四八年一二月二二日、被告を被申請人として本件意匠につき意匠登録を無効にすることについて審判を請求した。右請求理由の要旨は、本件意匠は周知の形状の容器の周側部に、意匠法上の意匠に該当しない文字を表わしたものであるから、意匠法第四八条の規定によつて無効とされるべきものであるというにある。

右事件は、特許庁昭和四八年審判第九二三四号事件として審理されたが、特許庁は昭和五二年一二月九日「本件審判の請求は成り立たない。」との審決(以下、「第一次審決」という。)をした。その理由の要旨は、本件意匠の容器の形状と類似する形状の意匠が出願前から公知であるとしても、本件意匠は、その周側部に横縞状の帯条及び文字などの図形が表わされており、しかも文字もその構成態様に創作があり模様と認られる範囲のものであるから、単に形状の類似する容器と類似しているものということはできない。したがつて、本件意匠は、意匠法第三条第一項第三号に規定する意匠に該当せず、無効とすることができないというにある。

そこで原告は、昭和五三年三月一四日、東京高等裁判所に右審決の取消を求める訴を提起し、右事件は同裁判所昭和五三年(行ケ)第三〇号事件として審理されたが、同裁判所は昭和五五年三月二五日右審決を取消す旨の判決をした。この判決は、本件意匠におけるCUP及びNOODLEの表示部分を模様と認められる範囲のものとした審決の判断は誤りであることを骨子とするものである。

被告は、右判決を不服として最高裁判所に上告し(同裁判所昭和五五年(行ツ)第七五号)、昭和五五年一〇月一六日に右上告を棄却する旨の判決がなされた。

そこで前記審判事件は、再び特許庁に係属することになつたが、特許庁は、昭和五七年七月一二日、再度、「本件審判の請求は成り立たない。」との審決(以下、「本件審決」という。)をし、その謄本は同年八月二八日原告に送達された。

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